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 10月27日(土)より、後期「寺山修司の青春時代」展がオープンしました。

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  今回の展示の目玉は、なんといっても寺山が中学3年の時、野脇中学校文芸部の仲間と発行した文芸誌『白鳥』(原本)の展示です。この『白鳥』に、寺山は、俳句、短歌、詩、小説、メルヘンなど90篇近い作品を発表しています。それは、質、量ともに他の仲間たちを圧倒するものです。

 これまで『白鳥』はその存在すらまったく知られていませんでした。2010年6月、寺山の同期生で横浜市在住の内山さんが自宅で保管していた『白鳥』を発見、当時、寺山の新資料としてセンセーションを巻き起こした、まさに幻の文芸誌です。

 この文集はわら半紙にガリ版刷り、B5版約50ページもの大冊です。出版から60年の歳月が流れ、もう手に取ることもページを繰ることもできないほど劣化が進んでいます。発見当初、すみやかに全ページが複写されたため、かろうじて全作品を読むことが出来ます。寺山や仲間たちの熱意が紙面の劣化とはうらはらに鮮やかによみがえってきます。

 のちに寺山の親友として高校時代、俳句づけの日々を過ごした京武久美の俳句作品も掲載されていますが、ふたりの距離はまだそれほど接近していない印象を受けます。おたがいへの影響はあまり見られず、京武はまだひっそり息をひそめているといった感じです。あるいはこの『白鳥』がふたりを接近させるきっかけになったのかもしれません。

 寺山の青春前期、書く歓び、発表することのわくわく感、そして矜持の芽生え、寺山文学の原点がここにはあります。ぜひ、ご来館いただき、寺山の初々しい感性に、じかに触れていただきたいと思います。その手触りはきっとどきどきするほど温かいはずです。

 今回の展覧会は、この『白鳥』のほかにも、高校時代の文芸誌『魚類の薔薇』や『麦唱』、大学に進んでからの『牧羊神』。闘病生活から生還し、精力的に書き継がれたラジオドラマ作品や劇団四季によって公演された『血は立ったまま眠っている』(原題・「死体教育」)をはじめ、世田谷に演劇実験室「天井棧敷」を設立するまで、「寺山修司の青春」をあますところなく伝える構成となっております。

 

 会期は10月27日(土)から2013年1月6日(日)まで。

 なお、11月3日(土)は、『白鳥』発見に携わった青森大学教授・久慈きみ代さんの講演も

 あります。(寺山修司記念館にて、13時30分から)